人工妊娠中絶について
Dr.Kikuchi
当院では、妊娠11週までは手動真空吸引法(Manual Vacuum Aspiration)を行っております
ラミナリア挿入※の前処置は原則として行いません。
- 静脈麻酔で完全無痛です。手術は眠っているうちに数分で終わります。
- 術後は回復室でお休み頂きます。大体3~4時間位でお帰りになれます。
- 術後1週間後の検診は、必ずお受けください。
通常妊娠初期の中絶方法は、ソウハ法もしくは吸引法のいずれかが行われます。いずれも金属を子宮内に挿入し、強度の子宮後屈や子宮筋腫合併の症例などでは、子宮内容物が残る可能性が強くなります。手動真空吸引法は、手動のシリンジを真空の状態にして、その吸引力を利用して手術を行います。
※ラミナリア:子宮の頚管の拡張のための円柱状の棒。原則的として無麻酔で挿入
手動真空吸引法(MVA)とは
手動真空吸引法(MVA)とは、プラスチックによる柔軟なカニューレを使用し、人工妊娠中絶や流産手術、子宮内膜採取等を行う手術法の一つです。
「Vorpal MVA システム」カタログより
手動真空吸引法は、以下の利点があります。
- 金属ではないプラスチックの柔軟なカテーテルを使用するため子宮壁の損傷や子宮穿孔(子宮に穴があく)の危険性が少なくなります。
- 子宮後屈や子宮筋腫また子宮奇形などの症例にもカテーテルが柔軟なため、安全に手術が行えます。
- 子宮頸管(子宮の入り口)を開くのが少ないため子宮頸管裂傷の危険が少なくなります。
- 子宮頸管の拡張が少ないため痛みが少なく麻酔の量が減少できます。
- 従来の吸引法に比べ、滅菌に手間がかからず感染の危険性を減らすことができます。
欧米では最も一般的な方法で、アメリカのコネチカット州の98.8%が手動真空吸引法が行われています※。
※文献 : SPIGEL, Saul, “Partial Birth Abortions,” OLR Research Report, April 24, 2001
当院では30年以上採用していますが重篤な合併症は認めていません
手動真空吸引法の機器は2015年10月20日に厚生省により認可を受けており、日本においてもその安全性が保証されております。